ジャズクラブの設計は建築家手塚貴晴・手塚由比夫妻にお願いいたしました。
手塚氏はプロジェクト開始当初よりルームチューニングの重要性に着目し、楽器や音響機器の性能と同等以上に部屋の音響特性こそが音楽を楽しむ最も重要な要素であると考えました。
音楽を心地よく聞くため、また演奏するためには部屋の大きさにあった適度な反射と定在波のコントロールが重要になってきます。不快な定在波を生まずに適度な反射が生じる空間こそが最高に気持ちよく音楽が楽しめる空間なのです。
最もコントロールが難しい低域については内装工事開始前に躯体に特殊な吸音材を直接埋め込むことで対策を行っています。そして中高域のコントロールは「造作壁自体を巨大な音響調整装置」として設計する解答を導きました。天井、ステージ、レコード側壁面の3面をHyperbolic Paraboloid Shell(HPシェル)を使うことで、一つとして同じ角度の相対する面が無い幾何学を作り、反射音の焦点が決して生じない設計となっています。
シェル構造の壁面は細く切り裂いた杉材を不均等に配置して作られており音の反射と拡散を行っています。シェルの裏側の空間はボックス構造になっており、施工後に音響測定を行いながら細かい調整を行えるように内部に吸音材を充填出来る仕掛けが施されています。
THE MOMENT JAZZ CLUBは建築構造物であるHPシェルを音響調整能力を備えた美しい意匠としてルームチューニングに使った世界初のジャズクラブです。
THE MOMENT JAZZ CLUB
建築概要
設計 手塚貴晴+手塚由比 / 手塚建築研究所
担当 :樋口かほる 笹尾浩二
音響 Studio Dede 吉川昭仁
照明 ぼんぼり光環境計画 / 角館まさひで
担当 :竹内俊雄
施工 G-NEST
担当 :木内康博
家具 E&Y / 松澤剛
Speaker Genelec 8361AM ,W371AM & GLM
Player Technics SL-1200G
PhonoEQ ROKSAN Caspian RPP
PreAmp BEHRINGER X32 Rack